美波

Group Exhibition
「語る存在」


伊藤 博敏|Hirotoshi Itoh
亀田 満紀史|Makishi Kameda
瀧井 ひなの|Hinano Takii
水巻 映|Akira Mizumaki

August 21 – September 1, 2026

1:00pm – 7:00pm(Last day until 5:00pm)

MEDEL GALLERY SHU HIBUYAでは、2026年8月21日(金)から9月1日(火)まで、石という悠久の素材を通して、「存在」という普遍的なテーマに向き合う4名の作家のグループ展「語る存在」を開催いたします。
それぞれ異なる視点から生まれた作品は、素材の持つ時間や記憶、人との関係性を映し出しながら、多様な彫刻表現の可能性を提示します。本展では、石という一つの素材から広がる豊かな創造性と、現代彫刻ならではの多彩な視点をご紹介します。

石と言われると、河原の石なんかがまず思いつくのではないでしょうか。

 

現代社会において石とはあまり身近な存在とは言いにくく、ましてや都会で生活していると尚更その存在を認識する機会は乏しい。
しかし、一歩立ち止まって周囲を見渡すと、石は意外にも身近なところに転がっている素材なのです。線路のバラストや百貨店の内装、身に着けているアクセサリーや機械式時計の部品。電子機器の半導体も実は石だったりするのです。

地球上で最も古い素材であり、古来より道具や武器として使われ、装飾や信仰の対象、記録媒体、建築など様々な用途で用いられてきました。
これらは石が容易に手に入る素材であり、耐久性に優れているからという要素だけではなく、石が持つ鉱物としての美しさ、自然界における不動の佇まい、あるいは時間の永続性が人々を魅了してきたからではないでしょうか。

石はその実在感の強さが一つの魅力でもあります。素材が持つ硬さや重さ、あるいは永久不変的な要素が私たちの潜在意識の中に存在しているためでしょう。
ある作家はこの固定概念とも言える要素を逆手に取り、柔軟な発想で打ち砕き、石を別の「存在」へと変化させています。
またある作家は、古い製品や捨てられたものを石に化けさせ、化石として掘り出すことで、地質学的あるいは考古学的視点で痕跡や過去といった「存在」を際立たせ、新たな価値を生み出しています。
二人に共通するのは石でありながら「石に見せない」といった逆説的な作風や価値観への問いかけです。
一方で、表現の中核に「存在」を置いた二人の作家は、概念的あるいは抽象的要素である「存在」を強調する媒体として石が機能しています。
個々の集合体である人間社会。その中で生まれる人と人との結びつきを石の結晶構造に重ね合わせた人体彫刻。
誰しもが持つ感覚や感情をかたちで表現し、記憶や経験のなかに有する姿や物語を想起させる風景彫刻。
実体はないが確かに感じる「存在」を表現しようとするとても彫刻的な作品です。

本展示は石を様々な解釈で読み解き、鑑賞する視点を多角的に持つことでそれぞれの作品が呼応し共鳴する展示です。
表面に現れる形だけでなく作品がひっそりと語る「存在」に耳を傾けて頂きたい。

なぜ、デジタルが主流の現代において、「石を彫る」というある意味「原始的」な行為で作品を作るのでしょうか。
物理的にも心理的にも存在が希薄になりつつあるデジタル社会だからこそ、石を彫るのではないか?と私は思います。
石が持つ堅牢な存在感が、より不動で実態ある作品として我々の前に提示されているのです。
彼らは、自身の思想を蓄積し、創造という地層の中で、作品という新たな鉱物を生み出しているのかもしれません。
水巻 映

 

石という一つの素材から生まれた4つの視点は、それぞれ異なる「存在」のかたちを私たちに示します。
作品の造形だけでなく、その奥にある思考や時間、記憶にも目を向けていただくことで、石は単なる素材を超え、新たな意味を帯びて立ち現れるでしょう。
作品が静かに語りかける「存在」を、ぜひ会場でご体感ください。

The Speaking Presence

MEDEL GALLERY SHU HIBUYA presents The Speaking Presence, a group exhibition featuring four artists who explore the universal theme of “existence” through stone, from August 21 to September 1, 2026.

Hirotoshi Itoh
Makishi Kameda
Hinano Takii
Akira Mizumaki

Stone is one of humanity’s oldest materials, used throughout history for tools, architecture, ornamentation, religious objects, and countless other purposes. Its hardness, weight, permanence, and natural beauty have given it a powerful sense of presence that continues to resonate with us today.

Each of the four artists approaches stone from a different perspective. Some challenge our preconceptions by transforming stone into unexpected forms, while others use it to evoke traces of the past, memory, relationships, emotions, and intangible forms of existence.

Together, their works reveal that stone is far more than a physical material. It can become a medium through which time, memory, thought, and human experience are made visible.

In an increasingly digital world, the physical act of carving stone offers a powerful reminder of tangible presence. The enduring nature of stone allows these artists to create works that feel both deeply rooted and contemporary.

The Speaking Presence invites viewers to look beyond the visible form of each sculpture and listen to the quiet “presence” within—the stories, memories, and ideas that the works themselves seem to tell.

野澤梓 Nozawa Azusa Profile

伊藤博敏|Hirotoshi Itoh

私の家は1879年から続く石材店です。生まれたときから石灯籠や墓石など、さまざまな石や仕事に囲まれて育ちました。いずれは家業を継ぐと決めていましたが、東京藝術大学工芸科鍛金専攻に進学しました。そこで出会った金属作家たちとの刺激的な出会いが、私の考え方や創作の礎となりました。私の作品は2つのグループに分けられます。ひとつは、大理石や花崗岩から彫る具象的彫刻です。もうひとつは、河原の石など石の自然な形を生かしながら異素材と組み合わせることで石の素材感をなくす作品です。この2つのカテゴリーにおける私の作品はすべて、日常生活におけるありふれたイメージ、物、経験に関連している。この2つのタイプの作品の顕著な特徴は、石が石以上の何かであるかのような、あるいはまったく別の素材であるかのような錯覚を起こそうとすることである。私の住む松本市は、素晴らしい山々に囲まれ、豊かな自然に恵まれています。その山々から運ばれてくる石は、長い時間をかけて清流に洗われ、自然にできた独特の形をしています。私は川岸で石を拾い集めながら、その石を使って創作できる物語や作品を想像します。そしてこれらの石が持つ自然な形、色、美しさを重視し、基本的に元の形を変えないようにしています。素材本来の持ち味を尊重し、活かすことは、日本文化が古くから大切にしてきたことです。ある文脈で重要な意味を持つものを、別の文脈に置き換えることで新しい価値を創造する「ミタテ」という創造性の概念があります。典型的な例としては、お寺の庭の砂利を水の流れに見立てる枯山水が挙げられます。私はコンテンポラリーアーティストですが、このような日本古来の概念は私のDNAに深く刻み込まれていると感じています。

石材店に生まれた私は、大学では金属加工を学びながら石を使った表現を模索していた。卒業後、石の持つ素材感を活かす方法として「ミタテ」という日本古来の概念を利用することを思いつき、今のスタイルとなる。

Profile | プロフィール

1958 長野県松本市に生まれる                        
1982 東京藝術大學美術学部工藝科卒業
1987 アトリエヌーボーコンペ審査員賞
1990 東京デイリーアートコンペ入選
1992 アビターレイルテンポ(イタリア)参加
1995 第2回トリックアートコンペ優秀賞
2006 個展「石笑う」 朝日美術館
    個展”Pleasures of Paradox” (USA)
   SOFA Chicago シカゴ(USA)
2007 SOFA New York(08,09)(USA)
2009 個展 Marble and Stone Sculpture (AU)
2011 個展”Pleasures of Paradox ’11″(USA)
2013 アートフェア東京
2015 HEY! Modern Art & Pop Culture (フランス)
     HUMOR IS ME (デンマーク)
2016 SOMMERUDSTILLINGEN (デンマーク)
2017 CAILLOU PAPIER CISEAUX (フランス)
     個展:Pleasures of Paradox(ルーマニア) 
2018 Reality Illusions(フランス)
2019 Art Safari Bucharest(ルーマニア)
2020 HUMORISME 2020(デンマーク)
2021 Lille Art Up(フランス)
     くどやま芸術祭(和歌山)
2023 個展「堅物の独り言」(大衡村ふるさと美術館)
2025 信州の工芸(松本市立博物館)
   個展「堅物のモノローグ」(奇石博物館 静岡)
   個展「堅物の企み」(高松市石の民俗資料館 香川)

他、個展を中心に各地で作品発表

野澤梓 Nozawa Azusa Profile

亀田満紀史|Makishi Kameda

私の作品制作において、重要なキーワードは「記憶」「存在」である。
これまで一貫して日常や旅先の風景からモチーフを決めてきたが、最近ではそこに現れる木に着目している。
風景に現れる木が、時に人間のように見え、さらに物語を連想させられることがある。ただの木に対して、あるはずのない物語を感じるのは、単に人間の形に見えるからではなく、その佇まいが私の中にある記憶と結び付くからなのかもしれない。
私はその感覚を彫刻作品に取り入れ、「誰しもが宿す記憶」を鑑賞者に呼び起こしたい。
Profile | プロフィール
2001 愛知県瀬戸市生まれ
2023東京藝術大学美術学部彫刻科 卒業
2025東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻 修了

主な展覧会
2023
「第71回東京藝術大学卒業・修了作品展」/ 東京都美術館(東京)
「アジア芸術系大学交流展 彫刻の五・七・五」/ 沖縄県立芸術大学(沖縄)

2025
「第73回東京藝術大学卒業・修了作品展」/ 東京藝術大学彫刻棟内(東京)
「Tilted Gaze:shoebox Sculpture 2025」/ 国立台湾芸術大学(台湾)

受賞歴
2022 第43期国際瀧富士美術賞 特別賞

野澤梓 Nozawa Azusa Profile

山根真奈|Mana Yamane

愛知県生まれ、現在は東京藝術大学大学院に在籍中。

制作を重ねる中で、石という素材が無数の粒子の集合体であることを身体的に実感するようになり、石の見方は大きく変化した。私はその粒子性を、人が持つ個人性や存在の在り方と重ねて捉えている。

人は一人で「人」であり、同時に誰かと関係を結びながら生きている存在でもある。近づき、離れ、時に傷つきながら保たれる距離感や、愛のかたち。

本作では、石を通してそうした人と人のあいだに生じる感覚的な距離や関係性を、ひとつのかたまりとして表現している。

Profile | プロフィール

CV

2004 愛知県名古屋市生まれ

2022 東京藝術大学美術学部彫刻科 入学

2026 東京藝術大学修士美術学部彫刻科 入学

2023 Aberration the 2nd ( 名鉄学園杜若高等学校 ) 愛知

2024 記憶をたどる旅 (cafe gallery Tohenboku) 愛知

2026 東京藝術大学 卒業・修了作品展 (東京都美術館)

2026 東京都知事賞 受賞

野澤梓 Nozawa Azusa Profile

宮岡貴泉|Takami Miyaoka

「石に化ける」と書いて化石。その言葉通り石になったら面白い。

アナログ製品が持つ「人間臭さ」に着目し、化石にすることで考古学的視点から、文化や時代背景、過去の人々の存在や痕跡を表そうとしたのが私の作品のコンセプトです。
高度経済成長期からバブル崩壊までの時代に大量生産された製品をモチーフとし、安価な物、役目を終えた物が化石になることで、価値感の逆転、知覚のズレ、唯一無二の存在として現代に掘り起こされているのです。

Profile | プロフィール
経歴
1998年埼玉県生まれ
2017年 埼玉県立芸術高等学校 15期美術科 卒業
2022年 東京藝術大学 美術科 彫刻専攻 卒業
2026年 東京藝術大学大学院 美術研究科 彫刻専攻 修了

活動経歴
第15回 藝大アートプラザ大賞 
藝大アートプラザ 大賞受賞者展「The Prize Show!~What‘s藝大?~」
第70回 東京藝術大学 卒業・修了制作展
第3回 「彫刻と家」展 
第74回  東京藝術大学 卒業・修了制作展
アートフェア東京2026 ブース ギャラリー小暮
SICF27 EXHIBITION A日程 ブース出展

受賞歴
第15回 藝大アートプラザ大賞 大賞受賞
第70回 東京藝術大学 卒業・修了制作展 台東区長奨励賞