美波

村木勇介|Yusuke Muraki
三つの要素

May 23 – June 4, 2025
1:00pm – 7:00pm(Last day until 5:00pm)

 

MEDEL GALLERY SHUでは、5月23日より6月4日まで村木勇介の個展「三つの要素」を開催いたします。本展が当ギャラリーでの初個展となる村木勇介は、圧倒的な自然と対峙する中で感じる、人間存在を超えた大いなるものへの没入感を、抽象的な絵画表現を通して探求しています。
村木の作品には、自然界に内在する秩序とカオスの共存、そしてそれらが生み出す生命のリズムが映し出されており、繰り返される模様は生命の連鎖や身体的なリズムを想起させ、観る者の身体感覚をも刺激します。
絵画の中に息づく自然の営みは、私たちの生きる環境とのつながりや、その在り方を問いかけ、私たちの足元を見ることを促してくれているかのようです。

 

本展 「三つの要素」 は、陰と陽、そしてそれらをつなぐ「バランス」という三つの要素を探求する。対極する二つの要素が交差する地点にこそ、第三の要素である「バランス」が生まれる。この概念を視覚化するために、白と黒の作品を制作し、それぞれのキャンバスに反対の色のレイヤーを交互に重ねていった。こうして生まれた作品は、二つの世界を結ぶ「ゲート」となり、自然と人間の断絶を超え、大地と共に生きるインスピレーションを呼び起こす場となることを目指している。

2024年5月、私は無一文でニセコに移住し、友人の家を大工として改修しながら、地域の人々と協力して表現の場を築いた。物質的なものを削ぎ落とした生活の中で、些細な喜びや幸せが際立ち、日々の暮らしから多くのインスピレーションを得ることができた。そして、思いがけない出会いを通じて、本展の開催が決定した。厳しい冬の間は仕事と制作の両立に奮闘しながらも、開催が迫る3月中旬、ようやく制作に集中できる時間を確保することができた。本展は、この1年間、ひたすらに追い求めてきたものの集大成である。

本展の実現にあたり、私の訪れを縁と感じ、快く迎え入れてくださった高野氏、制作の場を提供してくれた Green Park と Aleph Geddis、創作のきっかけと喜びを与えてくれた YenZo、Christian Calabro、Oliver Vernon、そして心の支えとなってくれた家族、友人、大切な人々に深く感謝を申し上げる。

 

DJなどアートに限らず表現していく村木。
土のように力ずよく、自身の感覚をストレートに表出している作品を体感ください。

MEDEL GALLERY SHU is pleased to present Three Elements, a solo exhibition by Yusuke Muraki, on view from May 23 to June 4, 2024. This marks Muraki’s first solo exhibition at the gallery.

Muraki explores a profound sense of immersion in something greater than human existence—an overwhelming encounter with nature—through abstract painting. His works reveal a rhythmic coexistence of order and chaos inherent in the natural world. Repeated patterns evoke the cycles of life and the rhythms of the body, resonating with the viewer on a physical level.

The living forces within Muraki’s paintings invite us to reflect on our connection with the environment and reconsider how we live within it. They seem to encourage us to look down at our feet and reconnect with the ground we stand on.

The exhibition’s title, Three Elements, refers to Yin, Yang, and the “balance” that connects the two. Muraki visualizes this concept by creating works in black and white, layering opposing colors onto each canvas. These paintings serve as “gates” that link two worlds—natural and human—and offer inspiration for coexisting with the earth.

In May 2024, Muraki moved to Niseko with nothing but his tools, working as a carpenter to renovate a friend’s house while building a creative community with local residents. Stripped of material excess, he found joy and inspiration in daily life. A series of unexpected encounters eventually led to this exhibition. Though he juggled work and art through the harsh winter, he was finally able to focus on painting from mid-March onward. This exhibition is the culmination of a year of persistent pursuit.

Muraki extends heartfelt thanks to those who made this exhibition possible: Mr. Takano, who welcomed him with open arms; Green Park and Aleph Geddis, who offered space for creation; YenZo, Christian Calabro, and Oliver Vernon, who provided inspiration and joy; and his family, friends, and loved ones for their constant support.

Beyond painting, Muraki also expresses himself through DJing and other creative forms. His works radiate a grounded, powerful energy—like the earth itself—and reflect his instincts with unfiltered honesty. We invite you to experience them for yourself.

野澤梓 Nozawa Azusa Profile

村木勇介|Yusuke Muraki

私の作品は、自然と人間の境界に存在する「見えざる領域」を可視化する試みである。2017年、カリフォルニア滞在中に1匹の狼と目が合い、家族として迎え入れられた。その瞬間、野生の持つ無条件の愛と大自然の調和に深く感動し、抽象表現を通じて描き始めた。

帰国後も制作を続ける中で、消えゆく生命の存在を強く意識するようになり、シリーズ 「Disappeared Animals」 が生まれた。キャンバスに浮かび上がる魂は、人間と野生の世界をつなぐ「ゲート」となり、そこには自然のバランスを保つ「真実の愛」が流れている。

私は、煙のように立ち上るヴィジョンをレイヤーとして重ね、パラドリア現象(無秩序なパターンの中に意味のある形を見出す認知作用)を利用しながら、生命の痕跡を可視化する。こうした表現は、鑑賞者の無意識に働きかけ、内面に眠る記憶や感情と作品を結びつける。

中心にあるのは「目」であり、それは魂の宿る場所として、作品と鑑賞者の間に深い対話を生む。私の作品は、消えゆく生命の記憶であり、同時に彼らが今もこの世界に存在し続けていることの証明である。

Profile | プロフィール

1984年東京生まれ下町育ち。

日本大学芸術学部中退。

 

 主な展示歴

Disappeared Animals

村木勇介

2022319(sat)-42(sat)

Cy サイ(鎌倉由比ヶ浜)

 

 20245月、無一文でニセコの友人の家に移り住んだ。その家を大工としてリフォームしながら、地元の人々と協力しあって、表現する場所を作り出して、その喜びを分かち合った。

シンプルになったからこそ感じる、些細な喜びと幸せ。自然の暮らしの中でたくさんのインスピレーションを受け、奇跡的な出会いによって個展の開催が決まった。必死で仕事を終わらせることに奮闘した冬。開催間近の3月中旬、ようやく制作に集中する時間を作れた。

この個展は私のこの1年間必死で追い求めた結果であり積み重ねです。

 私は10年前に旅に出て異文化の中で、当たり前だと思っていた沢山の気付きを受け、大切な出会いの中で、生きる喜びと悲しみと様々な感情を教えて頂き今に至ります。そして大自然と狼にインスパイアされ、カリフォルニアの内陸抽象表現を知り、描く喜びと意味を見出しました。

この世界には自然と人間を隔てる見えない壁がある。その二つの世界を貫くゲート。母なる地球に生き続ける野生の魂が溢れ出すエネルギーを感じ取る装置、それ自体が生きているもの。そのヴィジョンを描いています。

狼と目が合い家族に迎え入れられた時感じた強烈に優しく暖かい愛。東京に戻り、描く意味を見出すうちにその愛への渇望がこのヴィジョンを生みました。破壊ではなく創造。野生の世界を包み込むバランスを保ち進化するその力こそが真実の愛であると私は思う。