帝国ホテルプラザアートセレクション

内藤忠行 写真展「桜」

3月2日(月)〜8日(日)

11:00〜19:00(最終日は17:00まで)

 

30年以上にわたって桜を撮り続けてきた写真家・内藤忠行氏の作品展。

桜を着物の紋様のように表現したシリーズ「着物型12面シンメトリー」をご覧いただけます。また、白黒やカラー、遠景・近景を織り交ぜたり、幾何学模様のように写すなど、さまざまな手法で桜を表現した作品を展示します。

本物の桜の木をギャラリーに設えた空間で内藤忠行の桜の世界観をお楽しみください。

内藤忠行 | Tadayuki Naitoh

 

桜をテーマに選んだのは丁度30 年以上前だった。桜は千年以上に渡ってあらゆる分野の人々が表現してきた。ビジュアルは文学に比べると表現が浅いと云われ続けている。私もそう思っていたから挑戦する決心をした。しかし桜にレンズを向けて見ると引いても寄っても自分のスタイルを表現することは出来なかった。桜表現の難しさを実感した。ある日、突然、天から降りて来たように脳の中にシンメトリーが浮かんだ。翌日いくつか試作をしてみると4 面が出会うところに表出する図像に驚かされた。16 面にすると1種類の写真なのに4 つの異なる図像が現れる。
美的でありながら霊的であり宇宙的でもある。そこは正面には見えない妖艶なエロスも潜んでいた。着物の形をした「T字型12 面シンメトリーの桜」は3/100mm の誤差も許されぬ手でシンメトリーを繋ぎ合わせる難作業となり完成に1 年を要した。7 点が東京都写真美術館に収蔵された。それから20 年あまり、庭、蓮、骨、雲を撮る。その間カメラはデジタル化が進み、新たな写真の創造へと向かっている。しばらく桜と距離を置いて来たが、いたたまれず再び桜に向かった。

プロフィール

1941年東京・浅草生まれ。写真学校を卒業後、

1964年からマイルス・デイビスなどのジャズ・ミュージシャンを撮り始める。また、ジャズへの傾倒からアフリカ取材を開始し、写真集『地球曼荼羅』を発表。

1980年代からは日本文化へのアプローチを始める。雑誌に連載した撮り下ろし作品「日本の庭」シリーズが高い評価を獲得。「桜」「庭」「蓮」などをモチーフにした独自の世界観を創出している。