美波

松山賢|Ken Matsuyama

文様土偶、動物土面

October 3 – 21, 2025
1:00pm – 7:00pm(Last day until 5:00pm)

MEDEL GALLERY SHU HIBIYAでは、10月3日より21日まで松山賢の個展「文様土偶、動物土面」を開催いたします。
本展は野焼きによる多種多様な陶彫を中心に、松山が探求してきた「土」と「形象」の根源を紹介します。

岩手県御所野縄文遺跡の近くで育った松山にとって、土器や土偶のかたちは原体験そのものです。土を手に取り、火に委ねる野焼きの技法は、単なる造形を超えて「自然と人間の共生」を体現します。炎によって予測不能な表情をまとった立体群は、遺跡から掘り起こされた遺物のようでありながら、同時に現代的な造形として私たちに迫ります。

松山はこれまで、日本画や油彩など幅広いメディアで創作を展開してきましたが、本展では「野焼き立体」という最もプリミティブでありながら実験的な試みを核に据えます。そこには、古代の祭祀具や生活器を思わせるフォルム、身体を象徴する曲線、そして現代の造形言語が重層的に交錯しています。
炎と土の対話から生まれる作品群は、観る者に「起源」を想起させると同時に、未来への想像力を呼び覚まします。松山の野焼き立体は、遺跡の記憶と現代美術の実践をつなぐ架け橋であり、私たちが「つくる」という行為に潜む根源的な衝動を映し出すのです。

 

窯を使わずに、野外で薪などで土の造形物を焼くことを野焼きといいます。 火炎や煤によって、野焼特有の景色が現れます。 縄文時代、弥生時代は、野焼きで土器や土偶が作られていました。ひとがたを粘土でつくった土偶、動物、仮面を粘土でつくった土面、渦巻文様などを施した陶彫、使える漆塗土器などを展示します。縄文土器を復元した模刻、土器文様による絵画もあります。
松山賢

 

本展は弊廊の新しい取り組みに相応しいアーティストと作品群であり、これからの道標ともなりうる展示です。一人でも多くの方にご覧いただけましたら幸いです。

MEDEL GALLERY SHU Hibiya is pleased to present “Patterned Clay Figures, Animal Clay Masks”, a solo exhibition by MATSUYAMA Ken, on view from October 3 to 21, 2024.

Centered on diverse clay sculptures fired through the ancient technique of open firing, the exhibition introduces Matsuyama’s lifelong exploration of “earth” and “form.” For Matsuyama, who grew up near the Jomon archaeological site of Goshono in Iwate Prefecture, the shapes of clay vessels and figurines remain a primal experience. The act of molding clay and entrusting it to fire transcends mere form-making, embodying a vision of “coexistence between nature and humankind.”

The sculptural works—imbued with unpredictable surfaces shaped by flames and smoke—appear like excavated relics, yet simultaneously resonate as contemporary art. In this exhibition, Matsuyama highlights his most primitive yet experimental practice: open-fired clay sculptures. The works evoke ritual tools and vessels of antiquity, human body symbolism, dynamic curves, and layers of modern visual language.

From this dialogue between fire and earth emerges a body of work that recalls our origins while igniting imagination toward the future. Matsuyama’s clay sculptures form a bridge between the memory of archaeological remains and the practice of contemporary art, reflecting the innate creative impulse embedded within the act of making.

The exhibition will feature clay figurines, animal-shaped masks, spiral-patterned ceramic reliefs, lacquered clay vessels, reconstructed Jomon-style pottery, and paintings inspired by ancient ceramic motifs.

We warmly invite you to experience this exhibition, which presents both a new direction for our gallery and a guiding path for the future.

野澤梓 Nozawa Azusa Profile

松山賢|Ken Matsuyama

個展会場にいると、「メインはなんですか?」「何が専門ですか?」「もともとは何をやっていたんですか?」と訊かれることがある。「美術です。」と答えている。
 「いろいろやってますね。」と言われることもある。「絵画と彫刻、美術だけです。」と答えている。描いているモチーフが違うだけでも言われることがあるし、表現方法、技法が違っても言われることがある。映像作品やインスタレーション、パフォーマンス、音楽をつくって展覧会場で流したりしたことはあるが、映画を撮ったり、演奏活動をしたり、踊ったり、小説を書いたりしたことはない。
 日本画を描いていたときに、美術というものを遡り、ラスコー洞窟、アルタミラ洞窟の壁画に関心をもった。旧石器時代の洞窟壁画を模写しはじめたり、古代オリエントの地母神蔵や瘤牛形土器を模刻した。先史美術の一つとして縄文土器、土偶も見るようになった。
 ヒトは先史時代から、用途のないものを作ったり、描いたりしてきた。用途のあるものにも、文様を施したり、装飾したりしていた。なくてもいいものをつくってきた。明治以降「美術」と呼ばれるようになったものは、旧石器時代、縄文時代から江戸時代までもある。「美術」と呼ばれるものでなくても、模様を描き、装飾を施す。
 冒頭の質問に戻る。もともとはどこだろうか。「小学校にあがる前から、粘土でつくったり、絵を描いたり、紙工作をつくったりしていました。誰しも経験していることです。」そう答えることにした。
 絵画も彫刻も工芸も、そのほかのメディア、技法で制作発表をする作家は古今東西たくさんいる。
Profile | プロフィール

岩手県御所野遺跡近くで生まれる。湯舟沢遺跡すぐ横で育つ。

京都市立芸術大学大学院修了。横浜市三殿台遺跡そばに在住。

日本画制作を経て、土器、人形、彫刻をつくりはじめる。

最近は油彩画、野焼きによる陶彫を制作、発表している。

 

最近のおもな個展

2025年「復元土偶、縄文絵画」玉川高島屋

      「縄文復元模造図絵」みうらじろうギャラリー

2024年「縄文怪獣、野焼きと絵画」玉川高島屋

2023年「火がつくる文様絵画と土器彫刻」S-Gallery粛粲寶(しゅくさんぽう)美術館(茨城県境町)

      「火がつくる文様絵画と野焼彫刻-縄文文化との接点-」津南町農と縄文の体験実習館なじょもん(新潟)

2022年「縄文土器怪獣群」ギャラリーSIACCA(東京)

      「絵画・彫刻・箱・縄文」丸善丸の内本店4Fギャラリー(東京)

      「怪人図・土器彫刻と模様の絵」日本橋高島屋美術画廊X(東京)

2021年「中の絵の中」横浜高島屋横浜高島屋、大阪高島屋美術画廊

2020年「野焼彫刻、写実絵画と酒器湯呑」みうらじろうギャラリー(東京)

2019年「土器怪人土偶怪獣」津南町農と縄文の体験実習館なじょもん(新潟)

      「縄文風時代」横浜髙島屋美術画廊、新宿髙島屋美術画廊

2018年「絵の具・文様・野焼き・人物」The Artcomplex Center of Tokyo地下ホール(東京)

2017年「縄文怪人土偶怪獣」新宿髙島屋(東京)、日本橋髙島屋(東京)、大阪髙島屋(大阪)

 

最近のおもなグループ展

2025年「あなたは謎だ」~マン・レイ・オマージュ展、みうらじろうギャラリー

2024年「現代蔬果図考或いは餐彩画」横浜高島屋、京都高島屋

2023年「日本画擬態流用」高村総二郎、松山賢、山本雄教、ギャラリーSIACCA(東京)

      「ON BEAT ART SHOW」銀座三越、広島三越、博多阪急

2022年「美術の眼 考古の眼」横浜市歴史博物館(神奈川)

      「野焼譚Ⅲ」モルゲンロート(東京)2020、2018も

2021年「FACES and HEADS 2018」みうらじろうギャラリー(東京)2014-2022も

      「版画天国Ⅴ 越前屋嘉高、黒須信雄、竹内義郎、松山賢」ギャラリーSIACCA(東京)

      「山本鼎版画大賞展」上田市立美術館

2020年「CREATIVE RAILWAY 展覧会の絵」みなとみらい線新高島駅ホーム(神奈川)

      「胆大心小」みうらじろうギャラリー(東京)

2019年「コブラ40周年記念 COBRA×現代美術家 コラボ展」Gallery Suchi

        農と縄文の体験実習館なじょもんサテライト展「あざなえる縄のごとく」みうらじろうギャラリー(東京)

      「ザ・平成プレミアムショー」THE blank GALLERY(東京)

      「美少女の美術史展」北師美術館(台北)

      「あ、コレ知ってる!はにわ、どぐう、かえんどきの昭和平成」新潟県立歴史博物館

      「square」ギャラリエ アンドウ(東京)

2018年「夏の夜の夢」みうらじろうぎゃらりー(東京)

      「めがねと旅する美術展」青森県立美術館、島根県立石見美術館、静岡県立美術館

   「縄文展」ミュージアムショップ、東京国立博物館